ハードルが高めな投資目的の宝石

投稿日:

3605 Gold

 

先日、思わず息を呑むような
大粒のパライバトルマリンが
あしらわれた指輪に出会いました。

深く鮮やかなネオンブルーが
強烈な光を放つそのルースは、
長年多くの宝石を見てきた私の目にも
焼き付くほどの圧倒的な存在感。

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが
現在、このパライバトルマリンの
価格高騰は凄まじいものがあります。

 

色やクラリティ、濃淡などの条件が
揃えば、1カラットあたりの価格が、
ダイヤモンドの価格をあっさりと
凌駕することも珍しくありません。

かつて宝石の王様といえば
ダイヤモンドという揺るぎない
共通認識がありました。

 

ただ、カラーストーン市場、
特に特定の希少石に対する評価は
ここ十数年で劇的な変化を遂げています。

この異常とも言える価格高騰の
背景にあるのは、極めてシビアな
供給の枯渇にあります。

 

1980年代後半にブラジルのパライバ州で
発見されたこの石は、銅とマンガンが
絶妙なバランスで混ざり合うことで、
独特の鮮やかなブルーを生み出します。

しかし、ブラジルでの鉱山は
早々に採掘が困難になり、実質的な
枯渇状態に陥ってしまいました。

その後、アフリカのナイジェリアや
モザンビークなどでも似た成分を持つ
トルマリンが発見されるもブラジル産のような
突き抜けるようなネオン感のものはごく僅か。

 

需要が世界的に高まる一方で、
地球からの新規供給が途絶えつつある。

この絶対的なアンバランスが、
パライバトルマリンを幻の宝石へ押し上げ、
オークションや市場での価格を
引き上げているのです。

新たな大規模鉱脈が発見されない限り、
採掘される量は減少の一途ではあります。

 

新興国の富裕層による実物資産への
流入も相まって、手に入らないものに対する
熱狂は冷めることを知りません。

希少性が価値を強烈に牽引する現象が
宝石市場の最前線で起きているのです。

 

宝石は宝石、金は金

 
こうした希少石の高騰を
目の当たりにされたお客様から、
こんな質問をいただくことがあります。

パライバトルマリンやピンクダイヤモンドのような宝石は、投資目的で持っておくのもいいんですかね?

地金商でありながら
宝石店としての顔も持つ
当店だからこそ、よく寄せられる
ご相談ではあります。

結論から申し上げますと、
将来的な値上がりを見込んで
宝石を買うことは、実物資産への
投資としては微妙なところ。

確かに、採掘量が減り続ける
パライバトルマリンなどは価格が
上がりやすい性質を持っています。

しかし、それを実物資産である
金(ゴールド)と同列に扱うには、
相場の安定性と換金性(流動性)の
違いがどうしても発生します。

宝石はひとつとして同じものが
この世に存在しない芸術作品です。

カラット、カラー、クラリティ、
カットが少し違うだけで、どうしても
査定額は大きくブレてきます。

世界共通の均一な買取価格は存在せず、
買い手の需要や流行、さらには
査定する業者の在庫状況によっても
価格が左右されてしまいます。

なので宝石というのはいざ、
現金化しようとした時、買った時の
価格に見合う金額で売却できるかというと、
非常に不確実なのです。

買う時は高くても、売る時の出口戦略が
極めて描きにくいのが宝石の宿命なのです。

一方、金は世界中のどこでも、
その日の国際相場に基づいた
明確な価格で瞬時に現金化できます。

個体差はなく、純度が一緒であれば
1グラムはどこまでいっても1グラムの価値。

インフレや円安により、銀行の預金が
実質的に目減りしていく現代において、
有事や経済危機にも価値がゼロにならない
普遍の安定性こそが、資産を守る最大の武器。

宝石は、その美しさを身につけ、
日々の生活に彩りを与える嗜好品として
愛でるのが本来の姿です。

心を満たすための宝石と、
不確実な未来から大切な家族の生活を
守り抜くための金。

どちらが優れているかではなく、
全く役割が違うのです。

だからこそ、価格高騰のニュースに
惑わされず、資産防衛の要としては、
世界が信頼する普遍の資産である
金を地道に保有し続けること。

それが、資産運用における
私の揺るぎない持論です。

 

 

 

本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
(名前クリックでプロフィール表示)
May the Gold be with you. 

【本日(7/19)の貴金属価格(9:30価格)】
 ゴールド:23,359円/g(+0)
 プラチナ:9.450円/g(+0)
 ※田中貴金属公表の税込小売価格
 ※2025.7.1より14:00にも価格が公表されます(平日のみ)

 

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