クレディ・スイス買収で噂になったAT1債とは?

投稿日:

2420 Gold

 

ブログをみて来店された方に
AT1債ってなんですかね?
という質問をいただきました。

これは先日更新した
クレディ・スイスに関する記事に
出てきた言葉で投資物件。

ネットで検索してみると
債券と株式の中間的な特性を持つ
証券のひとつ…なんて出てくる、
イマイチ分かりにくい債券。

 

で、このAT1債ですけども
“Additional Tier 1“の略でして、
銀行が発行する永久性資本証券。

永久性の証券と伝えたように
償還(額面金額の返還)がない
永久債ということ。

元本の返還がないけども
発行体が存続する限りは永久に
利息が発生し、利率が高めなので
クレディ・スイスのAT1債は
投資家・富裕層に人気だったようです。

 

ただ、発行した銀行に破綻など
経営的な問題が起こった場合は
債権から資本要件になる点があります。

じゃあ資本要件とは…ですが、
資本として株式に変わったり、
その配当が停止してしまったり、
価値が無くなってしまうように
株式投資に近い状態になること。

 

なので、ネットで調べると
債券と株式の中間的な特性を持つ
という言葉が出るのです。

で、経営的な問題とあったけど
その水準として設けられてるのが
発行した銀行の自己資本比率

この自己資本比率ですが
簿記保持者、経営者など決算書を
読める方ならご存知の言葉でして
どれだけ強靭な会社であるかを
数字にしたもの。

 

数値が高ければ高いほど
負債(借入など返済必要な資産)が
少なく企業の安全性が高いということ。

なので、AT1債を発行する銀行は
自己資本比率を一定を下回ると
政府等から強制的に資本要件へと
切り替えさせられるワケです。

ちなみに決算書(貸借対照表)が
あれば、誰でも簡単に計算できます。

 

その見極めの指標は
国際的に基準が統一されており
バーゼル合意と呼ばれています。

そのバーゼルの中において
自己資本比率で内訳が決まり
とある数値内の債券が
AT1債ということです。

バーゼルという言葉が出ると
文字だけで伝えるのは難儀ですね。

 

ちなみにクレディ・スイスは
バーゼルⅢが適用されてたようなので
AT1債の自己資本比率の数値は
7.0%~8.5%が水準だった模様。

こうやってグラフを見ると
分かりやすいかと思います。

※財務省発行「AT1債およびバーゼルIII 適格Tier2債(B III T2債)入門」より抜粋

 

 

結局のところは発行元次第…

このAT1債も数々の著名人、
富裕層が持ってるということで
明るみになった投資案件。

恐らくクレディ・スイスの
1件が無ければここまで明るみに
なることもなかったでしょう。

説明するのが難しいので、
それこそ証券マンが一消費者に
話すのも苦労したかと…。

 

恐らくではありますが
クレディ・スイスという権威性、
そしてスイスの銀行である安心感。

何よりセールストークとして
ローリスク・ハイリターンと
謳われたようなので、それに
喰いついたのではないでしょうか。

購入したのが昔の話なら何より
昨年からのクレディ・スイスの状況、
債券ではあれど株式の一面になるという
特徴を把握していたのであれば、
回避していたのかもしれません。

 

投資としてお金を掛ける以上、
自分のお金を掛けるなら商品特徴を
きちんと把握する必要があります。

AT1債を販売したセールスマンも
きちんと細かく説明したかもしれません。

だと、リスクがある以上は販売員だけでなく
購入者にも非があるってことでして、
”ローリスク・ハイリターン”とだけで
判断せず、把握することは重要。

 

クレディ・スイス自体は
買収されたおかげで何とかですが
このAT1債に関しては購入者にとって
価値がゼロになるという始末。

日本でも保有者は多いようなので
今回損をしてしまった人ほど
金融機関なんて信用できない!!
…って思ったのではないでしょうか。

ということで金価格の高騰は
このような背景も後押ししたワケです。

 

 

今回クレディ・スイスの
AT1債を全額減損にすると命じた
スイス金融市場監督機構に対しては
債権者から訴訟される結果に…。

これはクレディ・スイスが買収された際、
AT1債の債権者よりも株主が優遇され
これに不服と感じた人たちによって
起きてしまった事態ではあります。

この訴訟結果も今後どうなるか
見物ではありますね。

 

 

 

本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
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