鍍でなくメッキと言われるようになった理由

2123 Gold

お客様から大事な真珠の指輪を
お預かりしたのですがあまり
お願いされたことのない依頼。

お預かりしたときの指輪は
K18イエローゴールドでして
当然ながら見た目は金色。

ただ、今回のご依頼は
金色を白金色にして欲しい
という内容でした。

色を変えるということは
宝飾品に関して2種類あります。

ひとつは金属を変えて
新しく作り直す方法。

もうひとつは既存の宝飾品の
上からメッキを掛けることで
違う色に見せる方法。

前者は当然ながらお金が
結構掛かってしまうので今回は
後者での対応となりました。

しかも、納期がかなり
タイトな状況もあったので
メッキでの対応となりました。

今回は白金色なので表面を
ロジウムメッキ加工して
対応することとなりました。

これはK18ホワイトゴールドで
作られた宝飾品であるならば、
ほぼ全部そうなっています。

ということで短納期だった
メッキ加工も無事終わり納品し、
お客様には喜んでいただけました。

ちなみにメッキ加工なので
時間の経過や使い方次第では
剥げてしまう可能性もあります。

また今回の指輪は装飾の
一部がかなり繊細であったので
すべての部分が綺麗に剥がれない
…という話もいたしました。

基本的にメッキとはいえ
デメリットというのは
そういった色が落ちる程度。

メッキがどれぐらい持つかは
使い方メンテナンス次第ですが
単純に見た目を変えるならば
いい方法かもしれませんね。

金より強いロジウム

ロジウムメッキの話が
出ましたがこのロジウムは
白金族貴金属でして
稀少性の高いレアメタル。

非常に硬いのと耐食性の強さで
冒頭のようなジュエリーなどでの
メッキやコーティング材に
よく使われている金属です。

耐食性がどれほどまでに
強いかというと、金をも溶かす
王水（濃塩酸と濃硝酸を混ぜたもの）でも
ロジウムを溶かすことはできません。

とはいえ、このメッキに関しては
全体的にロジウムよりも金の方が
好まれている傾向にあります。

なぜならばこのロジウムは
耐食性に優れている反面で
電気伝導率に関しては金よりも
かなり劣ってしまいます。

耐食性など素材としての
強度はロジウムに軍配があれど
使い方としては金が便利なのです。

ヘッドフォンやイヤフォンの
ジャックではほとんどの商品が
白金色かと思います。

ただ、同じ商品であっても
ジャックが金色になっている
少しグレードが高い商品もあります。

金メッキがされているものは
電気伝導率が高いので音質などにも
影響するということでこういった
ワンランク上の商品があるワケです。

ちなみにジュエリーは
身に付けるアイテムであるため
傷や変色防止、外観向上など
見た目の品質を損なわないために
メッキ処理が施されてます。

今回のお客様は本物の金に対して
見た目を変えるためのメッキでした。

ただ、一般的に使われるメッキは
中身が銅や鉄など価値の低い金属を隠す
という認識が強いかと思います。

ことわざでも
”メッキが剥がれる”とありますが
まさにこのメッキは経年劣化で
表面が剥がれ本来の姿が見える
…ということの例え。

メッキは漢字で”鍍（めっき）”と
書きますがこの語源としては
金が滅する意味から”滅金”となり
”鍍”が使われるようになりました。

”鍍”は表面を他の金属で薄く覆う
という意味なので使われ出したのです
常用漢字でないので今では漢字より
平仮名やカタカナの”メッキ”として
使われるようになったんです。

ちょっとしたプチトリビアでした。

本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
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