プラチナへの期待感が上がってきています

3377 Gold

さてさて、これまで、
貴金属市場の主役だった金。

史上最高値を更新し続ける
金の独壇場に対し、他の貴金属も
追従していたものの、どこか影が
薄い存在だったことは否めません。

ただ、11月末頃から、その景色は
一変してきたように思います。

金が再び力強く上昇しただけでなく、
長く沈黙を守っていたプラチナも
猛烈な勢いで上昇し始めました。

プラチナはマーケットが小さく
金よりもボラティリティは高いので
そもそも日々の値動きは大きい貴金属。

ただ、金があまりにも高く
なり過ぎてしまったがために
割安感のあるプラチナも徐々に
投資需要も高まってきました。

月末週末にかけて価格が
再上昇してきた最大の理由は
12月の米利下げ確率の変化。

それまで、市場はFRBの
利下げに関しては疑心暗鬼で
モヤッとしていた状態でした。

しかし、NY連銀総裁である
ジョン・ウィリアムズ氏と
サンフランシスコ連銀総裁
メアリー・デイリー氏の言動で
12月は利下げすると示唆。

JPモルガンなど大手金融機関は
12月の金利は据え置きと予想したものの
利下げするというように踏み切り。

”ほぼ間違いなく利下げが行われる”
というマーケットの確信が金市場に
追い風を作ったということです。

金利を生まない金にとって
金利というのはライバル的存在。

逆相関関係にあることもあり
利下げ観測が強まったことで
金が買われる結果となったのです。

そんな中でプラチナも
徐々に上がってきた理由とは？

プラチナはまだ安い？！

なぜプラチナがこれほどまでに
買われてきているのか？

このところ金に釣られて
上がっている気もするのですが
単なる金のつれ高ではありません。

プラチナ市場には今、
3つの構造的な要因が同時に
点火しているためです。

1. 止まらない「供給不足」

プラチナというのは、金のように
掘れば出てくるものではありません。

生産地が南アフリカとロシアと
極端に偏っている貴金属であり、
供給は非常に不安定です。

最新のデータによれば、
今年のプラチナ市場というのも
3年連続の供給不足となる見込み。

自動車の排ガス浄化触媒や、
次世代エネルギー水素産業からの
需要は底堅いにもかかわらず、
肝心のモノが入ってこない。

この物理的な欠乏が、
価格を徐々に押し上げています。

2. 割安感の訂正

金価格がグラム1万円、2万円と
駆け上がる中で、プラチナは
長らく割安に放置されていました。

しかし、米国の利下げ観測で
ドル建て金価格の上値が重くなると、
”まだ上がっていない資産”が探されます。

そこで白羽の矢が立ったのが
貴金属資産として需要のある
プラチナだったのでした。

”金があそこまで行くなら、
プラチナももっと評価されるべき”
という是正の動き。

これによって、ETFなどを通じ
資金流入を加速させました。

3. 「中国」の先物上場

そして、今回の上昇を決定づけた
最大の要因としてあったのが、
中国でのプラチナ先物取引の開始。

中国は世界有数のプラチナ消費国で、
自国の取引所（広州先物取引所）で
プラチナを上場させたワケです。

これまでロンドンやニューヨークが
決めていた価格に対し、実需を持つ中国が
直接価格形成に関与し始めたのです。

これにより市場の流動性は劇的に向上し、
新たな投機資金が大量に流れ込みました。

金とプラチナの両輪

そんな状況もあってか
プラチナに関しての投資に
興味を持つ方も増えました。

”プラチナも買った方がいいですか？”
”今後プラチナ高くなりますかね？”
といった質問を良くいただきます。

ただ、プラチナはボラティリティが
金よりも高い商品であるため、
登記要素が強い貴金属。

そのため、個人的には
金を持ってないのであれば
プラチナは持たない方がいいのでは？
というように思ってます。

金は、地政学リスクや
通貨不安から資産を守るための
盾として買われる資産です。

その一方でプラチナは
小さいマーケットであるのと
投資需要より産業需要が高いため。

利益重視であるのであれば
プラチナもいいでしょう。

ただ、そうでなければ
”まずは安全資産で金を持ちながら
プラチナの上昇に期待して持つ”
を長期運用でやるのが
バランスは良いかと。

金の上昇は、通貨の価値が
希薄化していることの裏返し。

そしてプラチナの上昇は、
産業構造の変化と希少性の高さが
評価され始めたことの証です。

もし、ポートフォリオが
金だけに偏っているのであれば
プラチナという産業需要の血液を
少し混ぜて資産全体のリスク分散と
成長性に期待できるかと思いますね。

本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
（名前クリックでプロフィール表示）
May the Gold be with you. 

【本日(12/5)の貴金属価格（9:30価格）】
　ゴールド：23,167円/g（+9）
　プラチナ：9,111円/g（-86）
　※田中貴金属公表の税込小売価格
　※2025.7.1より14:00にも価格が公表されます（平日のみ）

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