金の密輸にタングステンが使われた理由

1558 Gold

金（ゴールド）の価格が
上がることによって、
ほぼセットで報道される
海外からの密輸事件。

未だに無くならない密輸は
やはりリスクを冒してまで
消費税分の金額が手に入る
利幅にあるのでしょうね。

消費税は歩合計算だから
金価格が高騰すればするほど
利益を取るべく、密輸の件数が
増えるのは自然の摂理。

金（ゴールド）なんて
消費税非課税にすれば
簡単に収束するのに…と
いつも思ってしまいます。

…と、そんなことは
さておき、毎度毎度ながら
色んな手で行われる密輸。

先日もニュースで
報道されたのはこれまでにない
変わったケースでの密輸でした。

それはタングステンの
筒の中に金を入れるというケース。

金塊をタングステンの中に入れ
医療機器用部品で申告した上で
密輸を企んだものの結局のところ
逮捕されてしまった今回の事件。

タングステンの輸入量が多いため
気になった職員がチェックしたら
中身が金塊だったのでした。

ちなみにそのときの
密輸量は重さにして約30kg
当時の価格で約1億8千万円。

それだけの金塊が
タングステンの中に
詰まっていたのでした。

タングステンという名前は
あまり聞いたことが
ないかもしれませんが、
流通量の約8割が中国で
産出されるレアメタル。

身近なものであると
釣りの重りやゴルフクラブにも
使われています。

ではなぜそんな
タングステンの中に
金塊を隠して密輸を
企んだのでしょうか？

それはタングステンが
金（ゴールド）に似た
特徴を持っていたため。

そのためにわざわざ
円筒の中に金塊を隠すことを
行ってきたのでした。

造幣局や世界大手の金庫にある
大量の純金インゴットも中には
タングステンの偽物が
紛れ込んでいる可能性も…
というニュースがありました。

これも金とタングステンが
似ている背景からです。

なぜタングステンが密輸に？

ではタングステンが
金と似ている特徴とは？

それは比重

金（ゴールド）の比重は19.32で
タングステンの比重は19.30と
ほぼ同じ数値となります。
※金は純金での比重です

ただし、タングステンの
見た目は金（ゴールド）とは
全く異なる存在です。

そのため、タングステンに
金メッキを掛けることによって
偽造されるワケです。

また、タングステンは
金（ゴールド）よりも
遥かに硬く加工しにくい
…という特徴があります。

たとえば純金バーでしたら
ちょっと強めにデコピンしたり
ペンでトントン叩いてみると
凹んでしまいます。

しかし、タングステンは
堅いのでデコピンどころでは
まったく凹みません。

更に加工しにくいため
重量を調整しにくいのも
タングステンの特徴です。

純金バーは1/100単位で
製造調整することができますが
タングステンでは至難の業。

凹みの件と併せてですが、
刻印表記の重量と実測値で
あまりにも誤差があると
それは金でない可能性が
高くなってきます。

というように一緒にされると
なかなか間違いを見つけるのが
難しいタングステン。

密輸で悪用されるのも
理由が分かりますね。

本日はここまで。
ゴールド王子こと中岡英也でした。
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May the Gold be with you. 

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