3270 Gold
8月に入ってからお盆前まで
なかなか心臓に悪い話が出回り
市場を驚かせたことがありました。
事の発端となったのは、
米税関・国境取締局(CBP)が
重量1キログラムと100オンスの金地金を
関税の適用対象に含めると明示したこと。
8月8日発表されたのですが
これを受けて金価格は大幅に上昇。
関税となるとその分、
価格が上がるということなので
今のうちに買っておこう!
という心理が働いた結果。
アメリカへの金輸入コストが
跳ね上がることになって単純に
考えても供給面における制約なので
上昇するのは分かること。
しかし、それから3日後、
トランプ大統領は突然
”金には関税を課さない”と名言。
本当に大丈夫なのか若干の
不安は感じたものの大統領自体の
名言だけあって、ひとまずは
決着となる形となりました。
これによって金価格も
落ち着いたワケですが
とはいえ大統領は明言するも
政府機関からの発表はまだだったので
安心できるとはいえない状況。
そんな状況のときに日本は
お盆休みへと突入。
ブログを毎日書いている建前
ニュースもチェックしているし、
海外サイトも見てはいますが
いつもより若干敏感でした。
わずか数日の間に、
関税適用→価格上昇→関税撤回示唆→
大統領明言となったワケなので、
市場も落ち着かなかったハズ。
トランプ大統領もある意味、
地政学リスクかもしれませんが、
関税という貿易政策に対して
今回ほどの驚きはなかったです。
また、今回の件で一番影響が
大きそうなのはスイス。
なんせ世界の金取引の中心地である
スイスにとって、アメリカ市場への
輸出に関税がかかるとなれば、
その影響は計りし得ないもの。
もしかしたら金取引の構造そのものに
変化が生じる可能性もありますからね。
もし関税対象になってたら…
もしも金(ゴールド)が
関税の対象となっていたとしたら、
一体どんなことが起きたのか?
そうなった場合のシナリオを
考えてみたいと思います。
アメリカだけ金価格が跳ね上がる
まず直接的な影響として、
アメリカ国内の金価格が関税分だけ
押し上げられることになります。
たとえば10%の関税がかかれば、
それはある意味コストとなるため、
その分を価格に転嫁せざるを得ません。
アメリカ国内の金価格が
世界相場より高くなるという、
歪んだ状況が生まれます。
現物の場合はロンドン市場、
先物の場合はニューヨーク市場の
それぞれのドル建て価格が基準になり
円建て相場も決まってきます。
しかし、関税によって、
アメリカだけ価格が分離すれば、
どちらの相場を基準にするかで
業者によって価格が異なる事態も
考えられるということ。
小売価格はロンドン市場価格、
買取価格はニューヨーク市場価格、
なんてことも難しいかと思います。
日本以外でもそうなるため、
ゴールドの最大の魅力でもある
世界どこでも同じ価値を持つ
というメリットが薄れることに…。
関税により価格差が生じれば、
この普遍性が失われてしまい、
安全資産としての根本的な価値が
揺らぐリスクにもなりかねません。
スイスの金市場混乱
ただ、アメリカだけではなくて、
他の国際的な金取引市場への影響も
出てくる可能性はあります。
特に世界最大の金精錬、
取引場所でもあるスイス。
アメリカはスイスには対して、
39%の関税が掛けられることが
決まってます(2025年8月現在)。
もし、アメリカ市場への
輸出に関税がかかるとなれば、
39%価格が上がるということ。
そうなれば、スイスを通した
金(ゴールド)の流通システム全体が
大混乱に陥る可能性もあります。
1970年代に起こった
ニクソンショック後にもは
金(ゴールド)の国際取引が一時的に
制限されたことがありました。
それによって、市場によって
大きなゆがみを生じてしまい
世界が混乱する事態に…。
政策なんて関係ない!
と軽く考えてしまいがちですが、
金市場といえども政治的な要因で
大きく左右される可能性はあります。
価値が無くなってしまう…
なんてことは起こらないでしょうが
ボラティリティは高まります。
金関税適用は価格変動以上に、
金市場の根本的な仕組みを
破壊しかねない重大な問題だったと
気付いたので撤回されたのかと思います。
関税が導入されると
商品によっては思ってもない
混乱を招く可能性があるので
トランプ大統領が思っている以上に
世界は深刻な事態と受け止めてます。
本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
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May the Gold be with you.
【本日(8/21)の貴金属価格(9:30価格)】
ゴールド:17,530円/g(+104)
プラチナ:7,087円/g(+120)
※田中貴金属公表の税込小売価格
※2025.7.1より14:00にも価格が公表されます(平日のみ)
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