インゴットのすり替えリスクを抑えるために

3386 Gold

先日、あるお客様が少し
強張った面持ちでご来店。

カバンから取り出されたのは、
田中貴金属のインゴット。

50gと20gのバーをお持ちで、
”売却のご相談ですね？”と話すと
その時のお客様の第一声は、
少し違うものでした。

”これ……買い取ってもらえますか？
いや、その前に、これが本物かどうかを
見てもらうことはできますか？”

事情を伺うと、非常にデリケートな
背景が浮かび上がってきました。

実はこのインゴット、一時期ある事情で
知人の方に預けていたものとのこと。

数本のインゴットを預けたようで、
そのうちの一部は紛失した…と。

ようやく手元に戻ってきたのが、
今回お店へお持ちになられた
50gと20gのバーでした。

”戻ってきたのは良かったけど、
一部を無くされたこともあって…
もしかしたら、この戻ってきた金も、
偽物にすり替えられたのでは？
と、怖くてたまらなくて。”

と、おっしゃったのですが
確かに見た目は刻印もしっかりした
田中貴金属のインゴット。

しかし、一度自分の手元を離れ、
不信感を抱く相手の管理下にあったので
黄金の輝きも疑惑の色に変わったのでした。

ということで、X線分析機にかけ、
重量を計測、サイズも確認するなど
厳密な検査を行いました。

結果的には本物であったので
もし売却されても換金できる
きちんとした代物でした。

検査結果をお伝えした瞬間、
お客様が安堵のため息を
つかれたのが印象的でした。

お持ちになったインゴットは、
変わらぬ輝きを放っていましたが、
”他人にお金を預けること”の怖さが、
重くのしかかっているようにも見えた
そんな接客ではありましたね。

見えないすり替えの恐怖

今回のお客様のケースは、
決して他人事ではありません。

金の現物運用において、
すり替えのリスクは、盗難と同じくらい
警戒すべき重大な脅威です。

金は、見た目だけで真贋を
判断することがプロでも難しい物質。

過去には、金の比重と極めて近い
タングステンという金属に、厚い金メッキを
施した精巧な偽造品が出回りました。

刻印すらレーザーで精巧に
コピーされているため、本物を
見たことが無い素人からすると肉眼で
見抜くことはほぼ不可能です。

もし、あなたが誰かに
金を預けるとなるとそうした
リスクが振りかかってきます。

預けることはないにしても
インゴットを購入する際において
地金商でない、製造元でないお店で買う
というケースでも同じようなリスクが
付きまとっているのと同義です。

もし、本物なハズのインゴットが
偽物にすり替えられていたらどうなるか？

表面上は気づきませんでしょうが
数年後、いざ現金化しようと
地金商に持ち込んだ瞬間に、
”これは偽物です！”と告げられるのです。

だからこそ、私は本ブログで
金の購入先はこだわってください！
…と申し上げています。

金を買う時は、必ず信頼できる
地金商（正規販売店や特約店）から
直接購入してください。

ネットで安かったから…
知人から安く譲ってもらった…

こうしたルートで入手した場合、
その前の持ち主が誰で、どのような
経路を辿ってきたかが不明です。

悪意のある第三者が、
中身をくり抜き別の金属を詰めたり、
偽造品を紛れ込ませたりしている
可能性を否定できないのです。

正規店で購入するということは、
単にモノを買うだけでなく、
”精錬から販売まで、一度も
怪しいルートを通ってない安心”
を買うことでもあります。

偽物を掴まされたリスク、
疑心暗鬼になりながら保有し続ける
精神的なコストを考えれば、
手数料など安いものかと思います。

金は、あなたの資産を守る盾ですが
その盾自体が偽物であっては、
いざという時にあなたを守れません。

ぜひ、購入する際はお店選びに
注意するとともに下手に他人には
預けないことをオススメしておきます。

どこで買えばいいか分からない方は
こちらの動画をご覧ください↓↓

第三者視点で書いていることもあり
好評いただいております。

本日はここまで。
ゴールド皇子こと中岡英也でした。
（名前クリックでプロフィール表示）
May the Gold be with you. 

【本日(12/14)の貴金属価格（9:30価格）】
　ゴールド：23,775円/g（+0）
　プラチナ：9,708円/g（+0）
　※田中貴金属公表の税込小売価格
　※2025.7.1より14:00にも価格が公表されます（平日のみ）

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